第三講:装備比較(Ⅱ)
1. はじめに
前回に引き続き、本講でも装備比較について扱います。前回では扱いきれなかった防具や錬成鉱石なども取り上げつつ、考え方を述べていきます。
2.同一倍率加算の比較
第一講のまとめでは「ダメージ\(+x\) %の \(x\) の値だけで装備の優劣を判断しないことが重要である」と述べました。 第二講でも同様の内容に触れましたが、本講では別の条件設定を用いて改めて確認します。ただし、今回はPグラスタの種類を少し増やしてみます。 以下の条件設定を考えてみましょう。
条件1
- 火属性攻撃を実行(本講ではいずれも火属性攻撃を行うものとし、以降は条件から省略します。)
- 【パターンA】渾身防具を装備する場合(HP最大時ダメージ+15%)
- 【パターンB】赫耀防具を装備する場合(ZONE覚醒時ダメージ+15%)
- 2パターンいずれも以下のPグラスタを装備する
HP最大時強化×2(HP最大時ダメージ+60%)
覚醒の力(ZONE覚醒時ダメージ+25%) - 極・烈火陣を展開(火属性ダメージ+100%)かつHP最大にすることでダメージUPの条件を満たす
外部補正一覧
- 【パターンA】HP最大時ダメージ+75% / ZONE覚醒時ダメージ+25% / 火属性ダメージ+100%
- 【パターンB】HP最大時ダメージ+60% / ZONE覚醒時ダメージ+40% / 火属性ダメージ+100%
2つの防具はいずれも+15%と数値自体は同じですが、 他の装備構成(この場合だとPグラスタ)によって最終的なダメージは変化します。 外部補正の合計を計算してみましょう。
- 【パターンA】\(1.75 \times 1.25 \times 2 = 4.375\)
- 【パターンB】\(1.60 \times 1.40 \times 2 = 4.48\)
実測からも、赫耀防具を装備するパターンBのほうがより高いダメージが出ていることが分かります(式だけで充分だと思うので、実測の画像は以降省略します)。
続いて、以下の条件を考えてみます。
条件2
- 天の味方を5人編成
- 【パターンA】共鳴の力:天鉱石をグラスタに錬成する場合(天の味方数ダメージ+10%)
鉱石は天の味方1人につき+2%なので、5人の場合+10%となる - 【パターンB】撃陣烈火鉱石をグラスタに錬成する場合(烈火陣展開時ダメージ+10%)
- 2パターンいずれも以下のPグラスタを装備する
共鳴の力:天(天の味方数ダメージ+25%)
撃陣の力(ZONE展開時ダメージ+15%)
Pグラスタは天の味方1人につき+5%なので、5人の場合+25%となる - 烈火陣を展開(火属性ダメージ+50%)することでダメージUPの条件を満たす
外部補正一覧
- 【パターンA】天の味方数ダメージ+35% / ZONE展開時ダメージ+15% / 火属性ダメージ+50%
- 【パターンB】天の味方数ダメージ+25% / ZONE展開時ダメージ+25% / 火属性ダメージ+50%
天の味方の編成人数を調整して、共鳴の力:天鉱石の倍率を撃陣鉱石と同じ+10%となるようにしています。同様に外部補正を計算してみます。
- 【パターンA】\(1.35 \times 1.15 \times 1.5 = 2.32875\)
- 【パターンB】\(1.25 \times 1.25 \times 1.5 = 2.34375\)
撃陣烈火鉱石を錬成したパターンBのほうがより高いダメージが出ることがわかります。
上の2つの例は共に\(+x\) %の数値が同じ場合に、どちらが有利になるのかという状況を想定しています。このような場合、「倍率が低い方に加算する方が有利」という考え方が有効です。
1つ目の例ではPグラスタでHP最大時ダメージ+60%、ZONE覚醒時ダメージ+25%が既にある状況で、防具でHP最大時ダメージUPを+15%するかZONE覚醒時ダメージUPを+15%するかを考えています。 Pグラスタの倍率60%と25%を比較すると、25%のほうが低い値なのでZONE覚醒時ダメージUPを伸ばすほうが有利です。
2つ目の例ではPグラスタで天の味方数ダメージ+25%、ZONE展開時ダメージ+15%が既にある状況で、錬成鉱石で天の味方数ダメージUPを+10%するかZONE展開時ダメージUPを+10%するかを考えています。 Pグラスタの倍率25%と15%を比較すると、15%のほうが低い値なのでZONE展開時ダメージUPを伸ばすほうが有利です。
2つとも倍率が低い方に加算する方がダメージが高くなる、というのは計算結果と一致しています。
単なる例示に留まらず、一般化できる性質であることを確認するために簡単な証明を行っておきましょう。以下の命題を示せばいいことになります。
命題
正の実数 \(A, B, \delta\) に対し、\(A > B\) とする。 同じ加算量 \(\delta\) をどちらか一方に加えたとき、 \((A+\delta)B\) と \(A(B+\delta)\) を比較すると、 値の小さい \(B\) に \(\delta\) を加えた \(A(B+\delta)\) の方が積は大きくなる。
証明
差を取ると \[ \begin{aligned} A(B+\delta)-(A+\delta)B &= AB + A\delta - AB - B\delta \\ &= \delta(A-B) \end{aligned} \] となる。
\(A > B\) かつ \(\delta > 0\) より \(\delta(A-B) > 0\) が成り立つ。 したがって \(A(B+\delta) > (A+\delta)B\) であり、 命題は示された。
重要なのが、この考え方は同じ効果量を加える時にしか適用できない点です。効果量が異なると、必ずしも低い方に加えればダメージが高くなるとは限りません。
条件2で天の味方を5人ではなく6人にした場合を考えてみます。条件は以下のように変化します。
条件3
- 天の味方を6人編成
- 【パターンA】共鳴の力:天鉱石をグラスタに錬成する場合(天の味方数ダメージ+12%)
天の味方1人につき+2%なので、6人の場合+12%となる - 【パターンB】撃陣烈火鉱石をグラスタに錬成する場合(烈火陣展開時ダメージ+10%)
- 2パターンいずれも以下のPグラスタを装備
共鳴の力:天(天の味方数ダメージ+30%)
撃陣の力(ZONE展開時ダメージ+15%)
天の味方1人につき+6%なので、6人の場合+30%となる - 烈火陣を展開(火属性ダメージ+50%)することでダメージUPの条件を満たす
外部補正一覧
- 【パターンA】天の味方数ダメージ+42% / ZONE展開時ダメージ+15% / 火属性ダメージ+50%
- 【パターンB】天の味方数ダメージ+30% / ZONE展開時ダメージ+25% / 火属性ダメージ+50%
共鳴の力:天鉱石は天の味方数ダメージ+12%となり、撃陣烈火鉱石より2%高いです。Pグラスタの倍率は30%と15%で、低い方を伸ばす考え方だと撃陣烈火鉱石が良さそうですが、実際は以下の様になります。
- 【パターンA】\(1.42 \times 1.15 \times 1.5 = 2.4495\)
- 【パターンB】\(1.30 \times 1.25 \times 1.5 = 2.4375\)
共鳴の力:天鉱石を錬成するパターンAのほうがより高いダメージが出ることがわかります。
このように、値が異なる場合は実際に計算するのが確実です。とはいえ同じ効果量の比較ができるというだけでも装備選択の負担は少なくなると思います。
3.補正項の除外
アナデンの外部補正の種類は非常に多く、どちらを装備すればダメージを伸ばせるのかを考える際、可能であれば考慮すべき補正の種類を減らしたいと考えるのは自然なことです。 しかし、誤った除外の仕方をしてしまうと正確な比較ができなくなってしまいます。 考慮すべき外部補正とそうでない外部補正にはどのような差があるでしょうか。
答えは明確で、値が変化している補正項はそのまま残すようにするのが適切です。変化していない補正項は省いても構いません。
2章の条件1・3の構成をドッキングしてみます。
条件4
- 天の味方を6人編成
- 【パターンA】渾身防具を装備する場合(HP最大時ダメージ+15%)
- 【パターンB】赫耀防具を装備する場合(ZONE覚醒時ダメージ+15%)
- 2パターンいずれも以下のPグラスタを装備
HP最大時強化×2(HP最大時ダメージ+60%)
覚醒の力(ZONE覚醒時ダメージ+25%)
共鳴の力:天(天の味方数ダメージ+30%)
撃陣の力(ZONE展開時ダメージ+15%) - 極・烈火陣展開(火属性ダメージ+100%)かつHP最大にすることでダメージUPの条件を満たす
外部補正一覧
- 【パターンA】HP最大時ダメージ+75% / ZONE覚醒時ダメージ+25% / 天の味方数ダメージ+30% /
ZONE展開時ダメージ+15% / 火属性ダメージ+100% - 【パターンB】HP最大時ダメージ+60% / ZONE覚醒時ダメージ+40% / 天の味方数ダメージ+30% /
ZONE展開時ダメージ+15% / 火属性ダメージ+100%
Pグラスタの数が増えて、外部補正の数は計5種となりました。真面目に全ての補正を計算するとしたら以下のようになります。
- 【パターンA】\(1.75 \times 1.25 \times 1.3 \times 1.15 \times 2.0 = 6.540625\)
- 【パターンB】\(1.60 \times 1.40 \times 1.3 \times 1.15 \times 2.0 = 6.6976\)
もっと外部補正を用意すれば掛け算する数がさらに増えていき、計算が大変になります。ただ、どちらのダメージが上かを知りたいだけなら全て計算する必要はなく、できる限り簡単にしたいです。したがって、計算負荷を下げるためにどれを除外してよいかを考えます。
そこで先ほど述べた値が変化している補正項はそのまま残し、それ以外は除外する考え方を適用してみましょう。
この場合、天の味方数ダメージUPとZONE展開時ダメージUP、火属性ダメージUPはいずれのパターンでも+30%、+15%、+100%と値が変わってないので、これらの項は省いても構いません。逆にHP最大時ダメージUPとZONE覚醒時ダメージUPはAとBで値が変化しているのでそのまま残します。
除外後の式は以下のようになります。
- 【パターンA】\(1.75 \times 1.25 = 2.1875\)
- 【パターンB】\(1.60 \times 1.40 = 2.24\)
パターンBの方がダメージは高いとわかります。掛け算する数は2つで済むのでずっと楽です。
2数の大小を考えるときに「2数の比を取る」やり方があります。正の実数\(A\), \(B\)の比 \(A/B\) が1より大きければ\(A \gt B\)、1より小さければ\(A \lt B\)と判断できます。 比を取る、すなわち分数にすることで非常に有益なのは約分ができることです。 12/18と数が大きいときは約分をして2/3、などわかりやすい形にすることができます。 変化していない補正項を省くというのはまさにこの約分に相当する行為になります(上記の例なら1.3, 1.15, 2.0を約分した)。全く同じ数字なので、省いたとしても比の大きさには影響しません。 逆に変化している項に手をかけることは基本的にNGです。下手にいじろうとすると誤った結果が得られかねません。
言われれば当然の様に感じるかもしれませんが、意識していないと案外ミスしてしまうケースはあり得ると思っています。 たまに見かけるのは装備単位で除外してしまう人で、パターンA・Bの2つを比較するときに「Pグラスタ構成はA・Bどちらも同じだから、ダメージを考えるうえでこれらの影響は除外していいだろう」などといった考え方。 これは「変化している補正項はそのまま残す」に反してしまう可能性があります。
例えばパターンAではHP最大時ダメージ+90%、パターンBではHP最大時ダメージ+60%で差は30%ある、と言うことはできても、この30%という数字をダメージ計算の観点で使用することはまず無いと思っていいです(使えるのはこれ以外に外部補正が一切無い時くらい)。 外部補正は互いに乗算関係である以上、共通して持っている+60%分もしっかりとした情報源であり、これを省くことは情報の欠損となります。第二講で紹介したPグラスタの構成によってエルピス武器と亜空武器のダメージ上下が変化するのはこの原理に直結しています。
共通しているのだから除外できるはず、という点は合っていますが、除外するしないは装備単位ではなく必ず補正項単位で見ることが重要となります。
4. まとめ
本講では同一倍率の比較方法と補正項の除外の考え方について解説しました。
個人的には、外部補正の大まかな扱い方に関しては第三講までの知識があればある程度対応できると思います。
あとは各外部補正の特性(倍率の上限や計算方法など)に依る側面が大きいので、実際にその他のバフも含めつつ計算練習を重ねてみると良いです。
扱いが難しいのは基礎ダメージの変動で、腕力知性をどれくらい上げたらダメージがどの程度変化するかは定量化しにくい領域です。正直なところ、実際に計算して確認するのが最も確実だと思います。本記事でまとめるかは今のところ未定ですが、気が向いたらやってみようと考えています。
以上です。